父の日。
私には縁がなくなってしまったが、
メディアや町が、やたら「父の日」「父の日」と訴えてくる。
携帯電話の受信箱に残された、父からのCメール。
なんとなく開いてみる。
「風邪少しでもよくなりましたか母さん無事にかえりましたか心配です」
病人に心配されてちゃ、しょうがないなぁ。
「木曜日の朝検査の時間が早いから今夜の6時ごろそちらに参る
晩御飯いっしょにたべましよれよか」
この日、私はお囃子の稽古だったのよねぇ。
「一人で食事して風呂を済ましておきます」
申し訳なかったなぁ。
なんだか、メールを隔てたすぐ向こうに父がいるような気がしてきた。
マッチ売りの少女が見るような幻影だ。
でもいつか、このメール達も新しいメッセージにかき消されていくのね。
時は、日に日に積み重なっていく。
今日という日は、生きたかった父さんが迎えられなかった未来なのだ。
大切に生きていくわね
お父さん、ありがとう。