ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

生きている者にできること

心配していた京都東山・花灯路が会期始めで終了された。

さて、平成女鉾清音会はどうするか。
会長として、決断を下さねばならない。

祇園囃子は、娯楽の音楽ではない。
災厄を退散させるための祈りが込められている。

しかし行事自粛の気風が高まる中、奉納囃子を行なってもいいものか。
土曜日、入院中のI氏にメールした。
「やってもいいですよね?」
手が思うように動かせないI氏から返事がないのは承知している。
でも送信後、「やったらええんちゃうか?」という声が聴こえた気がした。
その翌日、I氏の訃報が届いた。

今日も夕刊を見ると事態はますます深刻になっている。
行方不明の方もまだたくさんいらっしゃる。
やっぱりやるべきじゃないのだろうか?

八坂神社の神官さんにも相談をした。
囃子自体に問題はない。
「清音会がどうしたいか、決めたらいい」というニュアンス。

今日はI氏の自宅にてお通夜。
I氏の所属している囃子方が、追悼の祇園囃子を奏でた。
メンバーが交替で鉦や太鼓をリレーしている。
I氏があんなに熱望していた囃子。
中に混じって太鼓を叩いているみたい。

役員と最終の話合いをし、
平成女鉾清音会は奉納囃子を行なう事に決めた。
今「生きている」のはあり「難い」こと。
被災された方もI氏も私も、いつ死に直面するか分からない。
それならば、精いっぱいやれることをやろう。
祈りをこめて、祇園囃子を奏でよう。
被災地への想いにとどまらず
不安に震える気持ちを鎮め、神様に願い、人々に元気を届けたい。

夜中3時に会員向けのメッセージを書いた。

3月20日(日)19:40頃より、八坂神社舞殿にて、
平成女鉾清音会による祇園囃子を奉納します。
所要時間は約20分。雨天決行。境内で自由に見学可能。
開始時間は早まる可能性があります。

よろしければ足をお運びくださいませ。