ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

外郎売

最近稽古場では、
ウォーミングアップの時間に『外郎売』(ういろう うり)が流行っている。
これ、江戸時代に二代目市川団十郎が演じた歌舞伎の口上なのだが、
発声・発音・アーチキレーションのトレーニングにもってこいなのだ。

ただし、長い。
おまけに古臭い言葉なので、覚えにくい。

実は私、これを18歳の入団したてに覚えさせられた。
劇団先輩の、今はフジテレビの小松純也氏が指導してくれた。
小松さんは当時から型破りな人で、
この外郎売も、アレンジが自在にできると眼を開いてくれた。

その”新人「外郎売」教室”の最後に、発表することになった。
私は長台詞を言える事がうれしくてうれしくて。
発表ではラップ調にしたり、女形みたいにしたり、高い声や低い声を使って
私なりの10分間一人舞台を演じた。
つたなかっただろうけど、先輩や座長が笑い転げていた姿を覚えている。

あれからいろんな台詞を覚えては忘れたけど、外郎売だけは忘れていない。
あぁ、あの頃のみずみずしい気持ちを思い出すわぁ。

でも今、ニットの新人君が口にする「外郎売」は、私の記憶とちょっと違うのだ。
小姑となった私はいちいち気になってしまうのよねぇ。