ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

おーらおーら風邪ひくな

ワケも分からずやっていたことの理由が、ある時急に分かることがある。
最近、それが2つほど続いた。
その1つめ。

劇団そとばこまち時代、「出発」という、つかこうへいさんの作品に出演した。

2つ上の先輩の卒業公演で、演出は小松純也さんが務めた。
私はまだ劇団の新人、ペーペーだったけれど、同期と十把一絡げの役をもらった。
”百姓”の役。
脚本にはない役である。

蒸発した父が俵に乗って帰って来た時に脇で歌い、踊るのだ。
父役の先輩が歌うのは♪Born as a Farmer♪
”Born as a USA”のメロディーで
「かやぶき屋根の下で生まれ もうちょっとで間引きされるとこだった」で始まる歌詞。
我々は横から「おーら おーら 風邪ひくな」などと合いの手を入れる。

このフレーズが敬老の日特集で、不意に耳に入って来た。
「達者でな」という歌の合いの手だ。
♪わ~らにまみれてよ~♪のバックに♪お~らお~ら風邪ひくな♪入っていた。

あぁ、知らなかったなぁ。
演出の意図を今頃になって知って、ひそかにほくそ笑んだりするのです。