帰り道、Aちゃんは沈んでいた。
携帯電話を落とした事で、今回の旅がすべて灰色になってしまったようだ。
私が楽しい話を持ちかけても「今は思い出したくない」と落込んでいる。
「電話を悪用するって何が考えられる?」
「電話に登録されている個人情報が流れたら、私のせいや」
「今頃、ジャンジャンかけられてるかもしれへん」
などと、考えが悪い方にばかり向いているようだ。
「大丈夫やて。Aちゃんの携帯古いし、ゲームかてできひんやろ?」
など、慰めているのか、けなしているのか分からないフォローをする。
長崎県警にも連絡したし、後は待つしかない。
いつもは大事なお昼ご飯も、Aちゃんは食べる気にならないらしい。
ペコペコなお腹を抱え、
伊丹から京都へまっしぐら。
携帯ショップに直行して、まずは相談。
「では、電波を止める前に、探してみましょう」と言われる。
A「え?分かるんですか?」
「あ、ありました」
なんと、長崎の携帯ショップに届いているそうだ!!
ヤッター!!良かったね!
「では、電波を止めるのはやめておきますね」
A「はい。着払いでいいので、送ってください」
「いえ、拾得物はご本人が取りに行ってください」
A「え?えっ?」
「その際、ご本人と確認できるものを持参してください」
A「え?長崎にですか?」
「そうですね」
A「この荷物を見たら分かるでしょう?今、帰って来たのに、また行けとおっしゃるのですか?」
「そうですね」
A(・・・が~ん・・・)
喜んだのもつかの間、またもや新たな問題が浮上したのであった。
(続く)