ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

ロバのパン屋

去年の師走は『恋味しんぼ』で歌うために、グルメの童謡を探していた。
一曲、メロディーの分からない歌があった。
『パン屋のロバさん』という歌だ。

京都には、移動パン屋さんがある。
その車は♪ロバのおじさん、チンカラリン♪という歌と共にやってくる。
ひと昔前は、本当にロバが曳いていたとか。

友達のAちゃんはロバのパンが大好物。
この歌が聞こえてくると、いつも飛び出していたそうだ。
そのAちゃんにメロディーを教えてもらった。
が、どうしても覚えられない。
「留守電に吹き込んでくれへん?」とお願いした。

劇場入りの朝、Aちゃんから電話がかかってきた。
すっかり忘れていた私は「もしもし」と電話を取った。
開口一番、Aちゃんは「出たらあかん」と言う。
「はぁ?」
「出たらあかん」
(家から出たらあかんの?天変地異でも起こってる?!)
(どうしよう、今日はいよいよホール入りのに・・・)
などとグルグル考えていると
「電話に出たらあかん」と言う。
「今から歌を吹き込むから」

その後、居留守を使った携帯電話に
♪ジャムパン、ロールパン、出来立て焼きたていかがですぅ~♪
と、おぼこさを装った歌が吹き込まれていた。

留守電を聞いて大笑いした。
ありがたい。いい友達だ。
でも申し訳ないことに、その歌は歌いませんでした。
京都以外の人には分からないから。
どうも、ごめんなさい。
私の胸にはしっかり刻まれたよ。