ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

温もりバス

病院へ向かうバスの中、
はしゃぐ子供の声が聞こえてきた。
お母さんが、「歌ってる人、他におらんでしょ。静かにして」と言っていた。
そのうち、会話が聞こえてきた。

子「私な、嬉しくて嬉しくてたまらへんねん」
母「なんで?」
子「お母さんが毎日ご飯作ってくれるのが嬉しくてたまらへんねん」
母「そうか。ゆうちゃんが大きくなったらお母さんにご飯作ってな」
子「作るけどな、上手に作れるかなぁ?」
母「作れるよ。ゆうちゃんが作ってくれたらどんなんでもおいしいよ」
子「お母さんは私にどうしてほしい?」
母「ゆうちゃんが好きな事を思いっきりやってほしい」
子「お母さん、痛い手どっち?こっち?
  痛いの痛いの飛んでいけ~」
母「ありがとう。ゆうちゃんがさすってくれたら治ったわ。
  おばあちゃんにもさすってあげてな」
子「私な、大きくなったらな、マッサージ屋さんになるわ。
  お母さんやおばあちゃんのそばに住んでな、さすってあげるわ」

バス中が泣いた!!
(”全米が泣いた”風に)
こんな愛情にあふれた母子の会話を聞くなんて。

心にある感謝や思いを口に出すって
大事やけど、大きくなるとなかなかできないこと。
お母さんも心がきれいなんやろなぁ。
前の席に座っていた私は
涙が滲んでしょうがなかった。

母子は私と同じバス停で降りて行った。
お母さんはショートカット、子供は女の子だった。
素朴な風景。
いいお年玉をもらったよ。
ありがとね。幸せにね。