ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

ピンチだっちゃ

『お彼岸の魚』愛知公演3ステージ目。
いつものように安田一平氏が暗転で履物をハケてきた。

明転し、舞台袖でスタンバイすると
スリッパと靴が一つずつ、一足にされて並んでいるではないか。

(こ、これは、チ●バだ。間違えてる・・・)
次の次のシーンでは、出演者がこの靴を履いて出て行くはず。
靴が片方しかなければ困ってしまう。

(どうしよう・・・)
出番が来て、インターホンを押した。
出迎えたのは涼しい顔をした一平ちゃん。
足元を見ると、玄関口にスリッパが3つと靴が片方、転がっている。
(わわわわ、こんなんありえへん)
動揺した。
と同時に、笑えて来た。

シリアスな場面だった。
はからずもチヌ子は大変パニクった演技になった。
不振がる共演者。

舞台上でグルグル考えた。
途中で一平ちゃんがチラッと足元に視線を走らせた。
どうやら失敗に気づいたらしい。

(一平ちゃんは何もしなくていいから!)
と、念を送り、次の暗転で何とか解決させた。
ほっ。
舞台の表と裏で色々ドラマのある、忘れられないステージでした。