ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

テレビマンの発想源

劇団そとばこまち時代の先輩、小松純也さんが母校の京都大学で講演した内容が、YouTubeで公開されました。 

小松さんは、卒業後フジテレビに入社して、バラエティ番組を中心に制作に携わり、最近は独立して『チコちゃんに叱られる』や、配信の番組も手掛けているそうです。

 

大学生の頃は、公私共に大変お世話になりました。

劇団時代は『冬の絵空』『Zizzy』『お前を殺しちゃうかもしれない』など、

壮大な物語をヘンテコに書き、時々役者や演出をしておられました。

 

穏やかさとパッションの振れ幅の大きい先輩で、『冬の絵空』を劇団新感線と合同公演した時は

「あ~古田さん、そんな感じです。」と、古田新太さんにニコニコしていたかと思えば

振り返りざま「イヌー‼」と犬役の役者達に怒鳴りだす、ギャップの激しさにおののいたものでした。(『冬の絵空』の仮タイトルは『ワンワン忠臣蔵』でした)

 

劇団ではよく、「今、世の中で面白い事は何か」を語り合い、作品を作っていました。

今回の講演で、小松さんは「『分析』は後付けで何とでも言える。まずは『ときめき』と自分なりの『直観』が大事」、と話しておられました。

「楽しくなければテレビじゃない」と謳われたテレビの一人勝ちの頃から、震災を経て、多くの人に伝わる内容を模索した、時代を通じた実感なんやなぁ、と深く納得しました。

 

面白いエピソードがたくさんあり(無観客じゃなければ、盛り上がっていたはず)、中でも、

チコちゃんの構想が10分くらいでできたこと。チコちゃんは、娘さんの似顔絵がスタートで「これじゃ人気が出ない」と言われてちょっと傷ついた話が面白かったです。

あと、スマホの恐ろしさを語る時に「気がつくと、『花田美恵子さん、180度開脚に絶賛の声』という記事を読んでいておののく」というネタを選ぶセンスも最高でした。

 

少し東京ナイズされた優しい先輩、またいつか鬼の形相で「どちゃくそ小突き回すぞ」とおっしゃる現場で遭遇したいです。

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 ※『Zizzy』のパンフレット写真より