ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

パン禁止令

そう言えば十三駅前のミスタードーナツにも思い出がある

劇団には、変なルールがあった。
『パン禁止』
稽古場でパンを食べていると、N瀬座長から注意を受ける。
「パンは力(ちから)にならんから、米を食え」
というお達しなのだ。

納得いかないけれど、専制君主の元、劇団員はしぶしぶルールを守っていた。

ある日、しばらくぶりで顔をのぞかせた座長が稽古中に私を呼んで
「ちょっとドーナツ買ってこい」と耳打ちした。

えぇ?いいのかなぁ?パン禁止なのに・・・。
おずおずと聞いてみた。

―あの、ドーナツはパンに入らないんですか?
「なに?」

―あ、甘いドーナツはおやつとしてカウントして良いんですか?

おそらくパン禁止令を出したことを失念していた座長は、
「何をごちゃごちゃ言うとるねん。早く買ってこい」と宣った。

ドーナツはみんなに喜ばれ、
あの日から、実質上のパン禁止令は解かれたのだった。

今から思い返しても、やっぱりパン禁止令は非合理的だと思うんやけどねぇ。