ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

これからの図書館

京都図書館情報学学習会とKu-librariansの合同学習会。
長尾真さんを迎えて「これからの図書館」について考える。
京大の図書館長、総長を経て、前の国立国会図書館長を務められた方。
今は京都に居を構えておられるとか。

長尾さんは70代でいらっしゃるけれど、とってもアグレッシブ。
「みんなが常識だと思っているものでも本当は違うものがあるんじゃないか」とおっしゃった。

「知とは、古代アレクサンドリア図書館からオープンなもので、誰もが共有し交流するものです」と、
著作権や分類に新しい考え方を注ぎつつ、資料の収集、ディジタル化を大いに進められた。その数950万冊!

NDLサーチで国会図書館の検索機能を強化し、近くの所蔵館やオンライン書店、書評へもリンク!

著作権法を改正し、電子資料を公共、大学図書館まで配信可能に!

「長尾モデル」と言われる、すべての出版物をクラウド化して国会図書館から提供する構想を打ちたてた!
けどこれは構想まで。
「何とはなしに反対する人がいる」
このままでは出版社がGoogleAmazonの言い値で決められてしまうと危惧しておられた。

電子版の提供が増えることで、これからの図書館スペースは利用者やグループ学習エリアが増えていく。
学生は受身的に講義を聴くのではなく、種々の課題をチームワークと意見交換により積極的に解決する参加型の教育に向かう。

使われない本を購入するのをやめて、利用者の要求に応じて電子図書を即座に購入する方向に切り替える方がエコノミーである。

電子図書をデジタル化すると、目次や索引など立体構造で探せる。
タイトルによらず、自分の欲しい概念の表れる章や節を探すことができる。

検索結果に自動評価を与え、信頼性を自動チェックするシステムの紹介。(WISDOM)
例えば「バイオエタノール」と検索して、「環境に優しい」意見と「ほんまは毒です」という情報を公平に並べ、それぞれの意見を立場(職業など)によって比較したりグラフで表示する。

従来の”図書館検索”の狭い範囲ではなく、これからはネットワーク上の大海原に自分の欲しいものを探し、健全な検索結果を表出できるよう、図書館が提供する検索システムも高度化する必要がある。とのことだった。

質問も続々。それに応えて
モンテギューの随想録とか、夏目漱石漢詩がさらりと出たり、疑似恋愛ゲームの話になったり。
電子書籍について、利用者の欲しがるものは何かを常にウォッチすること」
スマートフォンに精通しなさい」
「個人単位ではなく、SNS等チームで連合してやるのも良い。今は世界中の図書館が変わっていく時代。今日の勉強会みたいに司書のゆるいグループ活動もよいと思いますよ」
と、前向きで柔らか頭な回答。

実績を持つ人の語る未来は説得力があるなぁ。
そして夢があるなぁ。
図書館界も、近頃ユニークな人が参入してきてどんどん面白くなっている。
参加者もゴージャスでホットな勉強会でありました。