ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

マスターのタイプ

5年ほど前の祇園祭、友達と入った喫茶店があった。
こんなところにお店があったとは・・・レトロな雰囲気、日頃は気づかなかった。
人混みに疲れた我々4人は、それぞれオーダーした。
中では小型犬が尻尾を振っていた。
犬好きのAちゃんは「キャーかわいい!」と犬をなでた。
Aちゃんはムチムチした体型、その日はタンクトップを着用していた。

運ばれてきたアイスコーヒー、Aちゃんにだけアイスクリームが乗っている。
「何これ?どうして?!」と聞くと
「サービスや」と老マスター。
どうやら、ふくよかな人がお好みらしい。
「ごちそうさま」と清算したら、マスターが店の外まで追いかけてきて、
Aちゃんに「あんた、大橋巨泉の娘に似てるな」と言った。
私には微妙な例えだが、Aちゃんには「あぁジャズ歌手の」と通じていた。

それ以後、その喫茶店は私の記憶から消えていた。
だが今年の祇園祭、雨の巡行に疲れた私の目の前に突如立ち現れた。
(なんだか見覚えがあるような・・・)とふらふらと入った。

中には前に会ったマスターがいた。
客は私一人。
犬はいない。
コーヒーを注文すると、わらび餅がついてきた。
「あんた何年生まれや?」と干支を聞かれた。
どうやら、マスコットをくれるつもりらしい。
答えると「あぁそれは今切らしてるわ」と残念そうに言われた。

きっとあのマスターは女性にサービスするのが好きなのだ。
Aちゃんに報告すると、「(その喫茶店には)もう行かへん」と言う。
あの時から一回り肥えた自分が、
以前と同じように親切にしてもらえるか不安らしい。
乙女心は複雑やな。