5年ほど前の祇園祭、友達と入った喫茶店があった。
こんなところにお店があったとは・・・レトロな雰囲気、日頃は気づかなかった。
人混みに疲れた我々4人は、それぞれオーダーした。
中では小型犬が尻尾を振っていた。
犬好きのAちゃんは「キャーかわいい!」と犬をなでた。
Aちゃんはムチムチした体型、その日はタンクトップを着用していた。
運ばれてきたアイスコーヒー、Aちゃんにだけアイスクリームが乗っている。
「何これ?どうして?!」と聞くと
「サービスや」と老マスター。
どうやら、ふくよかな人がお好みらしい。
「ごちそうさま」と清算したら、マスターが店の外まで追いかけてきて、
Aちゃんに「あんた、大橋巨泉の娘に似てるな」と言った。
私には微妙な例えだが、Aちゃんには「あぁジャズ歌手の」と通じていた。
それ以後、その喫茶店は私の記憶から消えていた。
だが今年の祇園祭、雨の巡行に疲れた私の目の前に突如立ち現れた。
(なんだか見覚えがあるような・・・)とふらふらと入った。
中には前に会ったマスターがいた。
客は私一人。
犬はいない。
コーヒーを注文すると、わらび餅がついてきた。
「あんた何年生まれや?」と干支を聞かれた。
どうやら、マスコットをくれるつもりらしい。
答えると「あぁそれは今切らしてるわ」と残念そうに言われた。
きっとあのマスターは女性にサービスするのが好きなのだ。
Aちゃんに報告すると、「(その喫茶店には)もう行かへん」と言う。
あの時から一回り肥えた自分が、
以前と同じように親切にしてもらえるか不安らしい。
乙女心は複雑やな。