ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

社会のウィンドウ

そろそろほとぼりも冷めて来たと思うので、ここに記しておこう。
5/23(木)の福岡公演が8分ほど押した理由について。

きっかけは、開演1分前のT氏の指摘だった。
「Fさん、チャックがおかしくなってますよ」
秘書役の衣装はYシャツにスラックス姿。

「お、ありがとう」
とズボンのチャックに手をかけたら、そのままポロッと壊れてしまった。
上にも下にも動かない。
どころかファスナー部分がプツプツと壊れていく。

慌てて楽屋に駆け込むF氏。
安全ピンで閉じようにも、のりしろ部分がない。
代えのズボンを探してみるが、楽屋にはスエットとジーンズしかない。
そのうちに窓はどんどん開いてくる。

オープニングはF氏の板付きから始まる。
開演時間を過ぎても現れない役者を心配して、舞台監督N氏が駆け込んでくる。
「チャック締め忘れて出演する人もいるんだから、そのまま出たらどうですか?」
いやいや。分かっていてそのまま出演するわけにはいきません。

開演を待つお客さまに、舞台監督が謝罪。
「すみません。機材トラブルで少々押しております。」
すでにスタンバイしている照明や音響、舞台美術スタッフの頭に?(ハテナ)が浮かぶ。

舞台監督、工具箱から両面テープを取り出した。
応急処置で何とかしのぐ。

1幕開演。
共演者の私にはピカッと光る銀色のチャックがまぶしくて、心配でならない。
どうにかして彼に客席から後ろ向きで演技させられないか、頭がグルグル。

2幕、袖に入ると、ホッチキスを持った犬ハンターが待ち構えていた。

3幕以降はベルト部分のボタンを内側に留め、
チャックを黒いガムテープで保護して光る銀色を隠した。
袖に帰る度に舞台監督が小型ライトで股間を照らして確認した。

当日のお客様にはご迷惑をおかけしました。
開演直前の衣装のトラブルは初めて。
思いがけませんでした。
よりによってあそことは。
油断大敵でござる。

広島では修理して無事に本番を迎えたけれど
男優たちは軒並み予備のズボンを用意していた。
今後の参考のために、記録しておきます。
みんなも気をつけようね。