ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

額上の攻防

伸びすぎた髪を切りに、美容院へ。
今日は前髪を作るのだ。

私のおでこは狭い。
その上毛髪が天に向かって生えているので、
ショートにするのは危険なのである。
美容師さんはそれを悟ったらしい。

「では、切りますよ」と慎重だ。

ジャッキリ。

「今、目の下まで切りました。
これは髪が自然にアールを描くラインで落ちます。
もう少し切りますか?」
私は少しでも短くしたい。うなづく。

ジャッキリ。

「今、目の上です。短いな、という長さです。
これだと直線ですがギリギリ前髪が下に向きます。
庇(ひさし)になる直前です。
もう少し切りますか?」
どうせ伸びるのだ。切ってください。

ジャッキリ。

「今、眉毛の下です。かなり切ったな、という長さです。
これ以上切ると髪が上を向いてしまいます。
ここまでにしてください」

前髪の短い私は、なかなか良い。
なんだか山口智子さんみたい。
ブローしてもらった姿に大満足して美容院を後にした。

自転車を漕いで家に帰ると
前髪が全部立っていた。
パンク・ロックだ。アナーキーだ。

(あぁ、美容師さんはこれを心配してたんやなぁ)
鏡を見てつくづく納得した。