ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

跳ね馬

先日の新開地。
お芝居を観る前、劇場のロビーで、折り紙をしているおばあさんがいた。
隣に座って、最初はスマホなんかを触っていたけれど、
いつの間にか会話に。

「どこから来なさったの?」
ーあ、京都です。
「へぇ~遠くから。私も京都に知り合いがいるけど、なかなか、なかなか」
ー折り紙ですか?
「そうなの。市に登録をして、時々特養の老人ホームで教えてるんよ。
こないだ落語家さんに『僕の奥さんも折り紙をするんや』と言われて、その人が来るのを待っているの」
ーへぇ。会えたらいいですねぇ。

「あ、これ、いい色があるわ。ここでいらないチラシとか、たくさん出るでしょ?それをこうして、使ってるの」
近鉄デパートのチラシを正方形に切って、置物になる折鶴とか、跳ね馬の折り方を教わった。
「跳ね馬はね、こうして遊ぶの」
尻尾から跳ね上げる。
「そう、上手上手」

ーあ、もうお芝居が始まるので、行きます。
「それならこれとこれとこれをあげるわ」
ー折り紙だけじゃなくて、プラスチックのキラキラした飾りをもらった。
「こんな大事なもの」
ーいいから、いいから。

というわけで、何か色々、いただいた。
時々、跳ね馬を跳ね上げる。
その度にあのおばあさんを思い出す。