ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

愛はないとぼくは思う

「愛はないとぼくは思う」を観に、KAIKAへ。

ファックジャパンさんの、一人芝居。
ファックさんの本名は元林伸雄という。
過激な芸名に比べて、もったりした名前だ。

伸雄ちゃんは、体型ももったりしている。

一人舞台は、そんな伸雄の
本当かお芝居か分からない、壮絶な物語だった。

恥ずかしい告白や、大切な想い出をみんなお芝居にしてしまって
挙句、母親の想い出までにも踏み込む。

元林伸雄 35歳。
童貞の自分には、おそらく子孫は残せまい。
だったら、と、母の成就しなかった恋愛を助けようとする。

切ない。
立ちはだかる大魔神みたいなファック氏と対決しながら淀川を下るシーンを観て、涙が出た。

あぁ、もう。

やり切れない。

そして竹刀で炊飯器を叩く。
時々、炊飯器がパカッと口を開ける。

そう言えば10年ほど前、Fさんを最初に見た時も炊飯器を竹刀で叩いていた。
あの時は斬新で意味のない芸に開いた口がふさがらなかったけれど
今回は、闘う像を見ながら歯を食いしばった。

同じ芸なのに、10年の間に深まったなぁ。

2日目は、本当のお母さんがアフタートークに出演されたらしい。
お母さん、どんな顔して出られたのか。
自分だったらどんな顔になるかなぁ。