小雨模様のある日、
自転車で車道から歩道へ移動しようとしたら、思い切りすべった。
直前に追い越した、歩道を歩く男性がイケメンだったからでは、断じてない。
でも見事なほどに体は宙に飛び、その男性の目の前へ派手に滑り込んだ。
恥ずかしいのもあって、私はあわてて起き上がった。
ただ私の目の前には、ちょっとくたびれたおじさんもいた。
イケメンとおじさんの中間に飛び込んだ、私。
おじさんは、気を利かして知らぬふりをしてくれた。
近づく、イケメン。
携帯電話を開いていたらしいイケメンは、一旦折りたたみ、ひと息ついてから
「大丈夫ですか?」と聞いてくれた。
この”ひと息ついた”ところに、イケメンのめんどくさい様子が読み取れた。
(やれやれ、この子も俺様ネラいか?)
なんて思われてるんじゃないかしら?
「はい」と小さく答え、すぐに態勢を整えて自転車にまたがった。
いざ、ペダルを踏み込もうとする時点で
「ここ、滑りやすいからね」と言葉を継いだ。
「そうですね」と小さく答えて、青信号を猛スピードで渡った。
これ、トレンディードラマだったらどう展開したのかしら?
と思っているところに木10『素直になれなくて』が始まった。
主人公の樹里ちゃんは、相手役の瑛太君と紙袋を取り合いして転び
→ひざをけが
→おんぶ
→瑛太のアパートでマキロン
→チュー
と展開するのだ。
こ・・・これは・・・、いくらなんでも・・・
ないわ!!
私が、夢を見れない年ごろになってしまったのか。
ドラマが古いのか。
まぁそもそも、私は樹里ちゃん的な対象でないことは、重々承知やけどね。