ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

スカブラ

引越しの話が好評なので、もうひとつ。
3人集まれば、どうして演劇っぽくなるのだろう。
引越し屋さん、真剣なだけにとても面白い。

コンちゃんと呼ばれるドンくさい人が混じっていた。
コンちゃんは、布団袋の紐を結ぶのにも手間取っている。
「コンちゃん何してんねん、ちゃっちゃとやれや」
などとリーダーに叱られている。
荷物を運ぶ時に的確な所にいないので、
「コンちゃん」「コンちゃん」と、
ペットのように呼ばれている。

一度、リーダーと2番手がトラックを移動させに行った。
コンちゃんと私、二人っきりになった。
コンちゃんに電話がかかってきた。
「荷造りやっとけよ」と言われたようだ。
「はい。はい」と電話を切って、机に筒状の布をかぶせにかかった。
一方の足にかぶせ、対向の足にかぶせようとすると、
どうしても布がずり上がってしまう。
何度もトライするが、全体にうまくかぶさらない。
諦めて台所にこもってしまった。
冷蔵庫を拭いてくれているようだ。

今日は長いよ。 リーダーが帰ってきて、机に手際よく布をかぶせ、
「コンちゃん」と呼んだ。
「はい」と台所から返事。
「ううん。呼んでみただけ」とリーダー。

冷蔵庫を降ろす時も、コンちゃんは上で渡した後、
下のヘルプに降りてきたけど、間に合わなかった。

引越しは実質2人でやってもらったようなものだ。

今日そんな話をすると、
「コンちゃんはスカブラや」とAちゃんが教えてくれた。
筑豊の炭鉱で、まったく働かず時間ばかり聞きに行く
スカブラと呼ばれる人物がいたそうだ。
だが、彼がいないと皆、仕事が長く感じられたという話。

コンちゃんも、何かの役に立ってたんかなぁ。
きっと本名は近藤さんって言うんやろなぁ。