ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

30年間一人のために作品を作る

京都芸術センター演出家フォーラム「妄想ノすすめ」を聴く。
予算やスケジュール等、何かと現実と擦り合わさねばならない演出という仕事を
本来のクリエイティブに立ち返り、自由に机上でやってもらおう、という企画だ。

今月妄想するのは、ごまのはえ氏。
コメンテーターは演劇批評家の森山直人氏と
ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕氏。

ごま氏が妄想したのは、「30年間一人のために作品をつくる」という企画。
不特定多数に見てもらうのが「公演」とすると、
一人のために上演するのは「私演」と呼ぶ。
「私演」をするために選ばれた劇団「愛一族」と、
観客としてやってくる「太陽」さんの30年。

一年ごとの報告なり日記がプリントで配られるのだが、
ネタ満載かつドラマチック。
会場は笑いに包まれる。
それから次第に、(演劇って何?)
(表現て、何?)
(お客さんて、何?)という演劇原理について考え始める。

倉持氏も「最初は小バカにしてましたけど、バカにできなくなってきました」
と言い始めた。
休憩を挟んで喫煙所から帰ってきた3人は、
「公演も私演も結局同じではないか」と言い出した。
いやいやそれは、どうなのか?
一神教多神教くらいの違いはあるのではないか?
と言いたかったが、うまく言えなかった。

とはいえ、タモリ倶楽部を観たような楽しさと
人間ドキュメントを観たような奥深さを感じたフォーラムであった。