ニットキャップシアターの『チェーホフも鳥の名』を観に、伊丹アイホールへ。
3時間の上演で、樺太の1890年から1980年を旅しました。
ソ連人、ギリヤーク、日本人、朝鮮人など色んな人種がごっちゃに存在する場所。
舞台上の朝鮮人役はキムチの香りがしたり、ロシア人役は目が青く見えました。
次第に色んな文化が交じり合ったり、結婚したり、社会の枠組みが変わったりして、もう自分の民族も所属する国も、分からなくなってくる。
ギリヤーク人の兄妹は自分たちの言語を失ってしまう。
それでも再会し、「よく生きていたなぁ」と拍手し合うところで、ぐっときました。
『三人姉妹』でヴェルシーニンのつらつらとした長い台詞を、刑務所長デルピンが実感をこめて語るのが、新鮮でした。
その場に居合わせた人によって、その後の世代まで、その発言が受け継がれて行くことが、後世に残るのは血だけではないのだなぁ、知もまたしかり、と感慨深かったです。
だってデルピンは、ナターシャと結婚しなかったようですし。
(「苦い苦い」と言って、キスまでしていたのに)
ナターシャが正十郎に「あなた、冬はいないじゃない」と言うのは、彼が好きだったから、なのね。
途中、一人の語りで場面が構成されている部分も大変見ごたえがありました。
とにかく、ごまのはえ氏には近いうちに大河ドラマを執筆してほしいと思います。
それを観て(あるいは演じて)最後に「で、主役、誰?」と言ってみたいです。