ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

書の道

写経をする。
先生は雅号を持つ平成女鉾清音会のメンバーだ。

実家より、中学の時に使っていた書道セットを持ち帰る。
前日、硯を一晩水に浸けて、古歯ブラシで優しく洗い落とす。
長い間こびりついていた墨が流れて、面白いほど水が黒くなる。
硯は粘板岩という石でできていて、スレートという屋根瓦の素材にも使われるとか。

墨を磨る作業なんて、何年ぶりだろう。
墨の匂いも、濃くなる墨汁も新鮮な懐かしさ。

書は、変化を持たせるのが粋だとか
手は稼働域を広げて自由に動かす方がいいとか
教えてもらうけど、
私の手はお手本通りに動いてくれないのも甚だしい。
「性格が出ますねぇ」と先生に言われる。

最後に先生、道端で見かける色んな書について解説してくださった。
「梨木神社」「くれない」「くわうじんばし」「まりなげ禁止」
それぞれに美学があり、平安時代に通じるロマンがある。

書の道も、奥深い。
久しぶりにすごく集中したので、気持ちがすっきりした。
ちゃんと極めたら、私の性質ももっと丁寧になるかもしれへんなぁ。