ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

祭囃子

平成女鉾清音会による、八坂神社での奉納囃子の前日。
会長として、以下の演説をした。

私達がやっているのは、祭囃子です。
プロの仕事ではない。町衆が集ってやる囃子。
神様にも人にも喜ばれたいけど、まずは自分達が楽しむ事です。
それを見て、(楽しそうやな~)と、周りの人にも楽しんでもらえたらよい。

さて楽しむにはどうするか。
囃子に正解はありません。
私が思う、祗園囃子の楽しみ方は、「私はこうしたい」と華(リーダー)が美学を持つこと。
それに連なる人が合わせること。
連なる人は、囃子だけ見てたらあかんねん。
華の人格とか、好みとかセンス、今の気分、すべてを認めて合わしたる。
それが「気」を合わせるってこと。
これは、世界中からプロの音楽家を集めても一朝一夕にはでけへんで。
日頃から付き合ってるからでけることやで。
自分とちょっと違っててもええねん。
「この人はこういう人やから」って合わせられるのが、町衆で奏でる囃子の面白さ。

華に選ばれたからには、しっかりと自分のセンスを表す。
それを、連なる人に理解させる。
伝わったな、と思ったら潔く身を引く。
次の人へとバトンを渡す。
これが時代を作っていくってこと。

平成女鉾の鉦方は毎年10人くらい新期生が入ってきます。
彼女らに気を合わせる楽しさを分かってもらって、自分の鉦のスタイルを確立して、
次の華にバトンを渡していかなあかん。
大変なことやけど、それを経て太鼓や笛に迎えられる。

今年、このメンバーで囃子ができるめぐり合わせになったのは、奇跡的なことやと考えてほしい。
この奉納囃子をもって、現リーダーは鉦を卒業します。最後の鉦を叩きます。
この組合せで表現される「唐子・白山」「若三遍・五遍」は、おそらくもうないでしょう。
この華の、最高の平成女鉾囃子をみんなで実現しましょう。

そのチームワークが「平成女鉾清音会、やるなぁ」って神さんも人も唸らせるはず。
明日は、最高の囃子が納められますように!