ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

恋飛脚大和往来

松竹大歌舞伎 近松座公演』を観に、春秋座へ。
演目は、『恋飛脚大和往来』

歌舞伎には、江戸歌舞伎上方歌舞伎があるらしい。
江戸では「荒事」と呼ばれる豪快な芸が人気だが
上方歌舞伎は、「和事」(わごと)という優美な演技が特徴らしい。
江戸では「立役」(主役)はあくまでも二枚目らしいが
上方では主役も笑わせたりする。
今日観たのは、坂田藤十郎さん率いる、上方歌舞伎

なるほど、和事。
遊女とのシーンは、男がわざとすねたりして、いちゃいちゃ。
遊女を身請けする話でライバルと言い争いになって
運ぶ途中の公金に手をつけてしまい、
「わしと死んでくれ」と遊女に頼み
ガクガク、ヨレヨレになって退場していく。

とにかくなよなよしているのだ。
遊女は関係ないのに「一緒に死にましょう」と承諾して、堂々と門を出て行くが
忠兵衛は上着を裏返しに羽織ったり、グズグズしている。
なよなよ具合を演技で表現するのは難しい。面白い。
しかも今日のカップルは、おじいちゃんと孫らしい。

二部は、踊り。
連獅子(れんじし)を観た。
わが子を千尋の谷に突き落とす場面、鼓と笛の激しさが緊張感を与えた。
片岡 愛之助(ラブのスケ)さんが飛び上がってドンと胡坐を組んで座る所作など、下手したら怪我をする。
最期は、引きずるほど長い毛を「これでもか」というほど二人で回して、
ムチウチにならないかと心配した。
なよなよの後だけに、勇壮な踊りが見れて、スカッとした。