ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

自転車とスカートと恋

ガーゼのスカートをひらひらさせて自転車に乗っていたら
自転車が急に動かなくなった。

見ると、スカートが後ろ車輪の軸に引っかかっている。
うう、動けない。

足を動かさないようにして、かろうじて降りる。
どうすりゃいいんだ、自転車とスカートと私。

このままスカートを引きちぎって走るか。
自転車と共にのたれ死ぬか。

途方に暮れていると、「自転車持ちましょうか」と声が。
先ほど追い越した、工事現場の兄ちゃんだ。
「私、どうしたらいいんでしょう?」と聞いてみる。
聞かれても、知らんわなぁ。

自転車をバックさせると、スカートの巻込みが、少し緩んだ。
これは、と、スカートを持って逆回転させてみた。
それから、少しずつバックしては逆回転。

道の真ん中で後退する、兄ちゃんと自転車とスカートと私。

無事にほどかれた!
「ありがとうございました」と初めて顔を上げる。
これは、電話番号を聞いた方がいいのだろうか。?
恋の始まりになるのだろうか。

次の「どうしたらいいんでしょう?」は、心にそっとしまって。
ビリビリで油まみれのスカートで走り去りました。