エイプリル・フールには、妹に嘘をつくことにしている。
二人にしか分からない、しょうもない嘘だ。
これは内容よりも、不意に送りつけるところに意義がある。
NYに帰った妹の時差に合わせ、今年はFAXで送った。
だが妹の日記に「今年は誰も嘘をついてこなかった。みんな大人になったのね」と書いてあった。
ちがう!ちがう!
メールで妹にFAXが届いていない事を確認し、もう一度FAXした。
ださい行為だが、仕方ない。
でも反応がない。
もう一度、電話をしてからFAXを送ろう。
留守電に吹き込んでいると、義弟が出た。
バツが悪い。
しかもFAX操作をしながらだったので途中で切れてしまった。
あぁ、さりげなく嘘をつくつもりだったのに、大袈裟なことになってしまった。
そしてまた失敗したようだ。
いまだ、今年の嘘は国際電話線の宙に浮いている。