平成女鉾清音会の稽古。
囃子の師匠が稽古場に来られた。
「ご無沙汰しております」と懐かしく出迎えると、
「今日はちょっと挨拶に来たんや」
稽古に来ていただけなくなったとのこと。
「せっかくやし、あんたらの囃子をちょっとだけ聴いていくわ」
と、おっしゃる。
師匠に捧げるために、久しぶりに、私達なりに大作の曲を選びました。
(ここまで育てていただいて、ありがとうございます)の気持ちで奏でました。
師匠は、じっと聴き入っておられました。
囃子が終わってから
「ほれ。3人の太鼓の位置が違ってるやろ。叩いているうちに太鼓が遠くに行ったら、正しいバチの使い方や。太鼓が次第に近くに寄って来たら、叩き方が間違うてる。」
と普段通りに指導してくださいました。
「そうですね。気をつけます」と言いながら、涙がこぼれました。
「鉦は少ないけど、よう揃ってる」
「笛は、よう分からん。でも最後のピーが出たら、ええ囃子や。それまでがあかんでも、ええ囃子になる。その逆やと、それまでの囃子が台無しになる」
と、アドバイスを残して「じゃ」と帰って行かれました。
25年間の思い出が走馬灯のように流れました。
御恩返しは、これからの囃子と後輩への継承です。