ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

囃子の師匠

平成女鉾清音会の稽古。

囃子の師匠が稽古場に来られた。

「ご無沙汰しております」と懐かしく出迎えると、

「今日はちょっと挨拶に来たんや」

稽古に来ていただけなくなったとのこと。

「せっかくやし、あんたらの囃子をちょっとだけ聴いていくわ」

と、おっしゃる。

 

師匠に捧げるために、久しぶりに、私達なりに大作の曲を選びました。

(ここまで育てていただいて、ありがとうございます)の気持ちで奏でました。

師匠は、じっと聴き入っておられました。

 

囃子が終わってから

「ほれ。3人の太鼓の位置が違ってるやろ。叩いているうちに太鼓が遠くに行ったら、正しいバチの使い方や。太鼓が次第に近くに寄って来たら、叩き方が間違うてる。」

と普段通りに指導してくださいました。

「そうですね。気をつけます」と言いながら、涙がこぼれました。

「鉦は少ないけど、よう揃ってる」

「笛は、よう分からん。でも最後のピーが出たら、ええ囃子や。それまでがあかんでも、ええ囃子になる。その逆やと、それまでの囃子が台無しになる」

と、アドバイスを残して「じゃ」と帰って行かれました。

 

25年間の思い出が走馬灯のように流れました。

御恩返しは、これからの囃子と後輩への継承です。

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