ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

海堂尊著『新装版 ブラックペアン1988』

現在放映中の医療ドラマの原作である。
ドラマでは嵐の二宮君が敏腕外科医としてダークヒーローっぷりを発揮している。
一方、治験コーディネーターの描写について日本臨床薬理学会から抗議されるなど、物議を醸している。

 司書としても、教授陣がインパクトファクターの数値を争う設定には違和感を感じる。
なぜ研究の評価にインパクトファクターを利用してはいけないのかは、こちらをご覧いただくとして、原作の話である。

 原作には先に挙げた設定はない。
1988年は癌告知も珍しく、教授室で喫煙する描写あり、プロパーに発表スライドを作成してもらう話あり、ドラマとは違う意味で違和感を感じる。
ただ、時代は遡れども手術シーンや人間関係は繊細で生々しい。
さすが医師の作品と、その辺りは安心して興味深く、電車を乗り過ごすほど一気に読みふけった。