ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

最後の囃子

鉾建て最終日、最後の囃子。
清音会メンバー全員で乗り込む。
既に泣いている笛方のYさん。
「まだ泣いたらあかんよ」と言いながら、
太鼓方のFさんも涙を流している。
「私はこれで鉦を打つのが最後やけど、
私は元気な囃子が好きやから元気にやってや」
と笛に上がる鉦方リーダーSさんが後輩に告げる。

「ヨーイ!」という掛け声で最後の囃子が始まる。
平成女鉾が皆の思いを乗せて、一つのエネルギーの塊になっている。
私も、色々な思いが交錯して、涙があふれる。
先生や関係者も泣いているのが、鉾上から見える。

「ソレ!ヤットコヨイトコヨイトコナ」のリズムに合わせて、鉾が揺れている。
囃子が天まで昇り、また静まり、再び昇華した。
最後に笛がピーーッと鳴り響く。

「それでは平成女鉾の前途を祝して、お手を拝借!」と
観衆と一緒に手締め
皆で「お疲れ~。キャー」と抱き合って、
拝礼。

この夜の事は、一生忘れない。
死ぬ前に走馬灯のように流れる、人生の大切なシーンの一つになるだろう。

「これが、祇園祭の本当の姿や」と誰かが言ったけど、
私達には、次、いつ建てられるという保証は何もないのだ。

写真は昼の回、お互いの足をクロスさせて固定する鉦方です。