ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

歩行器の先に

阪神大震災の時、芦屋に住んでいた伯母一家が家に避難していた。
伯母の家はサザエさんみたい。
伯母、伯父(夫)、いとこ(姉)、いとこ(妹)、いとこ(姉の夫)、子供3人
という大家族。
家の中は布団の海になっていた。

いとこの長男はずっと震災のドキュメンタリーを観て、涙を流していた。

いとこは赤ん坊を抱きしめ、背中を丸めていた。
自分のよりどころのように、
その姿勢でずっと固まっていた。

私の父は歩き始めた2番目の女の子に歩行器を買ってきた。
(家は布団の海なのにどこで使うのか)と思った反面、
父がおもちゃ屋に足を運んだことにびっくりした。

その女の子が、このたび母になるらしい。
すごいな。
あの時ヨチヨチだったのに、もう赤ん坊を産むのだ。

時は流れる。
まずは今を乗り越えること。
歩みの先にきっと、明日があるから。