ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

井の中のなまず

Hさんという難聴の知合いがいる。
かれこれ10年以上の付き合いだ。
彼女は私の唇を読んで、コミュニケートする。
私の口の動きは読みやすいと言う。
彼女のおかげで私はずいぶん滑舌を鍛えられている。
今ではそれを利用して、2人で内緒話ができるくらいである。

H嬢によると、手話には
「日本語手話」と「日本手話」があるらしい。
「日本語手話」は日本語の単語や助詞ごとに変換するやり方だ。
「日本手話」は、語順も訳し方も、まったく違うらしい。
意味だけを伝えるそうだ。
感情なども、単語ではなく身振りで表すのだ。

試しに
古池や かわず飛び込む 水の音
という俳句を日本手話であらわしてもらった。

喧騒の中、一瞬にして静かな風景が立ち現れた。
蛙がポチャンと飛び込む様子が見えた。

見事なパフォーマンス!
Hさんは役者ではないのに、すごい表現力だった。
う~ん。
ろうの人は、私が通常感じているのとまた別の世界を持っているのかも。

そう言えば先日、テレビでタレントが
「かわず」を「なまず」だと答えていた。

古い池に、ナマズがはぜる音??地震か?!
これは、訳す以前の問題やね。