盗難届を出していた自転車、グッキー号が見つかったと警察から電話あり。
五条署に会いに行く。
(女…持ち主、グ…歯茎色グッキー号)
女「あ、あんたぁ~!」
グ「おお、元気やったか」
(ひしと抱き合う)
女「無事でよかった。どっか悪いとこないか?」
グ「ほれこのとおり、ピカピカや」
女「ほんまや。最後に見た時より元気そうやん。どいだけ心配したか。ほな、帰ろか」
(自転車にまたがり、帰宅)
グ「懐かしいのう、この駐輪場」
女「そ、そやろ」
(黄色い自転車をラックに移動させる)
グ「それ、なんや?」
女「あ、うん。移動させんと駐められへんやろ?」
グ「せやけど人様の自転車いごかしたらあかんやろ」
女「ええねん、ええねん」
グ「もしかしてそれ、お前のか?」
女「ええねん、ええねん」
グ「ええことないやろ!お前、俺のおらん間に新しい自転車乗っとったんか?」
黄色い自転車(後略、黄)「・・・」
グ「それ、見るからに新品やんけ。新しい自転車買うたんけ?」
女「・・・ごめん」
グ「何でや?!何で信じられへんねん!俺がつらい思いしてるかもしれん時に、何で待ってられへんねん!
こんなん二股やんけ!お前はそんなに尻軽な女やったんか?!」
女「・・・だって・・・耐えられへんかったんやもん。あんたがおらんようになったら不便でしょうがない。
交通費かって、いくらかかると思う?10日くらい動いたら余裕でこの人(黄自転車)買えるんよ。
帰ってくるかどうか分からへん人待って、女やもめが暮らして行くの、大変なんよ!!」
グ「・・・」
黄「・・・」
グ「そ、それにしても、俺は盗まれたんとちゃう。撤去されとったんや。
お前がもうちょっと本気出して探してくれたら、見つかったはずなんやで」
女「いやホンマかんにんえ~(笑)一人で悲しんで届け出して、自転車買うてひと月過ごしてしもたわ。
せやけどちゃんと調べてんで。その日撤去はなかったし、防犯登録の番号もヒットしいひんかってん。
なんでやろ?おかしいなぁ。ほんまゴメンゴメン」(ヘラヘラ)
(グ、無念の表情)
グ「俺のこと、大事にするか?」
女「当たり前やん。鍵も2重にかけるわ」
グ「ほんなら、明日から元サヤやな」
(グと女、チュー)
グ「ほな黄君、悪いけど・・」
女「せやけど黄色君ともウマが合うんよ。今となってはどっちも愛してるんよ」
グ「何やと?!」
(グッキー、怒りで赤くなる)
黄「ホンマ、すんません!」
これが、警察署から駐輪場までの間に私の心の中で交わされた劇場。
自転車が見つかって、嬉しいけどグッキー号に申し訳ない。
例えば戦争から旦那が帰って来たけれど、すでに新しい旦那と結婚していた、みたいな背徳の思い。
ま、全部妄想なんやけどね~。