ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

帰って来た元旦那

盗難届を出していた自転車、グッキー号が見つかったと警察から電話あり。
五条署に会いに行く。
(女…持ち主、グ…歯茎色グッキー号)

女「あ、あんたぁ~!」
グ「おお、元気やったか」

(ひしと抱き合う)

女「無事でよかった。どっか悪いとこないか?」
グ「ほれこのとおり、ピカピカや」
女「ほんまや。最後に見た時より元気そうやん。どいだけ心配したか。ほな、帰ろか」

(自転車にまたがり、帰宅)

グ「懐かしいのう、この駐輪場」
女「そ、そやろ」

(黄色い自転車をラックに移動させる)

グ「それ、なんや?」
女「あ、うん。移動させんと駐められへんやろ?」
グ「せやけど人様の自転車いごかしたらあかんやろ」
女「ええねん、ええねん」
グ「もしかしてそれ、お前のか?」
女「ええねん、ええねん」
グ「ええことないやろ!お前、俺のおらん間に新しい自転車乗っとったんか?」

黄色い自転車(後略、黄)「・・・」

グ「それ、見るからに新品やんけ。新しい自転車買うたんけ?」
女「・・・ごめん」
グ「何でや?!何で信じられへんねん!俺がつらい思いしてるかもしれん時に、何で待ってられへんねん!
  こんなん二股やんけ!お前はそんなに尻軽な女やったんか?!」
女「・・・だって・・・耐えられへんかったんやもん。あんたがおらんようになったら不便でしょうがない。
  交通費かって、いくらかかると思う?10日くらい動いたら余裕でこの人(黄自転車)買えるんよ。
 帰ってくるかどうか分からへん人待って、女やもめが暮らして行くの、大変なんよ!!」

グ「・・・」
黄「・・・」

グ「そ、それにしても、俺は盗まれたんとちゃう。撤去されとったんや。
  お前がもうちょっと本気出して探してくれたら、見つかったはずなんやで」
女「いやホンマかんにんえ~(笑)一人で悲しんで届け出して、自転車買うてひと月過ごしてしもたわ。
  せやけどちゃんと調べてんで。その日撤去はなかったし、防犯登録の番号もヒットしいひんかってん。
  なんでやろ?おかしいなぁ。ほんまゴメンゴメン」(ヘラヘラ)

(グ、無念の表情)

グ「俺のこと、大事にするか?」
女「当たり前やん。鍵も2重にかけるわ」
グ「ほんなら、明日から元サヤやな」

(グと女、チュー)

グ「ほな黄君、悪いけど・・」
女「せやけど黄色君ともウマが合うんよ。今となってはどっちも愛してるんよ」
グ「何やと?!」

(グッキー、怒りで赤くなる)

黄「ホンマ、すんません!」


これが、警察署から駐輪場までの間に私の心の中で交わされた劇場。
自転車が見つかって、嬉しいけどグッキー号に申し訳ない。

例えば戦争から旦那が帰って来たけれど、すでに新しい旦那と結婚していた、みたいな背徳の思い。

ま、全部妄想なんやけどね~。