ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

大西先生の本名

「役者としてお願いしたいんやけど・・・」と友人より依頼。
資格試験の実技の相手役だそうだ。
で、ヒールを履いてアルバイト。

集められたのは4人。
全員”大西先生”という役。
筆記試験に続く実技試験で、受験生と10分間対談する。

受験生は年齢も性別も色々。
私が面談をするのは9人。
人によって「安心できる人」と「何を言っているのかよく分からない人」、「丁寧だけど熱の伝わらない人」など、様々いらっしゃる。
やっぱり肝は人間性かしら?

5人目、ものすごいイケメンの受験生が来た。
 -どうぞお入りください 
案内すると、イケメンが
 「大西先生ですか?」と聞いてきた。
 -あ、はい、大西役です
冷静なつもりだったけれど、茶色がかった目と向かい合っていると、吸い込まれそうになる。
物腰が柔らかく、ソツのない話し方。
もし私が主婦で彼がセールスマンだったら、(もう、何でも買っちゃうっ)という心境。
うっかり回答すべき答えをひとケタ間違えたりして、見守る採点者が焦っていた。

彼はその後の面接試験でも、面接官と大いに盛り上がっていた。
そして帰りしな、教室を出る時に
 「大西先生の本名は何ていうんですか?」
と聞いてきた。
 ―え?私ですか??
実名が喉まで出かかった時、採点者が
 「そんなの聞いてどうするんですか?」と突っ込んだ。

あぁ、一期一会。

最後の質問さえなければ彼は通っていたと思うんだけどなぁ。
*試験の結果は知りません。
それにしても、やっぱりイケメンは得やねぇ。