ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

能を学ぶ大和撫子

平成女鉾清音会の大和撫子マナー講座。
今回は観世流能楽師シテ方吉田篤史先生を迎え、
能の歴史や仕舞の実演、歩き方や謳など、
充実した講義を伺いました。

お能には5つの要素があるとか。
1.仮面劇 2.音楽劇 3.扮装劇 4.歌舞劇 5.詩劇
神仏に奉納するのが主な成り立ちで、その後武家社会、公家社会の支援を得たため、民衆に見やすくは作られていない。
また、江戸時代には式楽に定められたので、方言を話す武士は謳いのイントネーションで標準語を勉強したとか。
歌舞伎の発展の仕方とは大いに違うらしい。

「嵐山」「巻絹」「鞍馬天狗」など、面や解説と共に
色んなタイプの仕舞を一時に見せていただいた。
「聞くのではなく、感じてほしい」とおっしゃったようにその緊迫感に吸い寄せられた。

最後は「高砂」を皆で謳い、それに呼応して吉田先生が舞ってくださった。
「たかさごや~」で始まる謳いは、本来はワキ役の担当だとか。
高砂→淡路→鳴尾→住之江と船を進めて、最後は住吉明神を待ち謳う。

清音会のメンバー、普段から囃子の掛け声で鍛えているので、声がなかなか出ていた。(と思う)
先生も、女性用にキーを高く発声してくださったようだ。

能はユネスコ世界無形遺産の日本第一号に登録されているらしい。
「世界の中でも日本で特に無形文化が残っているのは、他国の侵略により中断されることがなかったからです。能は能楽師、お客さんのみならず衣装、面、扇子など多くの人が携わってこその文化。皆さんにもちょっとずつでも受け継いで行ってほしい」と結ばれました。

分かりやすく、裾野を広げようと活動されている吉田先生のご活躍には頭が下がります。
平成女鉾清音会も貴重な文化を受け継ぐ団体として、広く末永く伝えていかなくちゃね。