ひめ日記3

日詰千栄の日々を綴ります。芝居のこと、祇園囃子のこと、京都のこと。

徘徊ファッション

昼間、よくすれ違うおじいさんがいる。

カンカン照りの夏の日も、ザンザン降りの雨の中も、ビュービュー凍える寒さでも
澄んだ目をして、ブツブツ言いながらヨロヨロ歩いている。

おそらく徘徊しているのだ。
思わぬところで出会ったりするので、
毎日ものすごい距離を歩いていると思われる。

そのおじいさんの服装が、お洒落。

ある日はシャーロックホームズのような探偵風。
鹿撃帽にインバネスコート。

ある日はヒップホップ風。
野球帽を後ろ前にかぶり、Tシャツと短パン。

ある日はヒッピー風。
ポロシャツをベルボトムジーンズにイン。

ある日はチャーリーブラウン風。
腰にミッキーマウスの人形をぶら下げている。

よくまぁこれだけ凝れるなぁと思うほどバラエティに富んでいる。
暑い日はペットボトルを首からぶら下げていることもある。

多分、毎朝誰かに着せてもらっているのだろう。
「行ってらっしゃい」と送り出す家の方がいるに違いない。
と思っていたけれど、先日
「袋をくれ」とカウンターにやって来られた。

「はい」とその辺りにあった適当な紙袋を渡すと
「これじゃだめだ」とおっしゃる。
「じゃあ・・」と、探してビニールのしっかりした物を渡すと
「ありがと」と持って行かれた。

やはりご自分でもこだわりがあるみたい。
きっとその日のファッションで歩いている景色も違うんやろなぁ。
ここまでくると見かけない日は心配になるくらい
毎日すれ違うのが楽しみで仕方がない。