川上未映子「夏物語」(文春文庫 2021年)を読了。
第一部は、小説家を目指して東京で暮らす主人公、夏子の元へ、大阪から姉と姪が訪れる話。
姉は豊胸手術を受ける予定。思春期の姪はひと言も話さない。
姉妹の昔話、貧乏を助け合って乗り切ったこと、姉が勤めているスナックでの事件など、結構えぐい内容が大阪弁で笑い話になって交わされる。
第二部は小説やエッセイを書き始めた夏子が、非配偶者間の人工授精での出産を模索する話。
編集者や同業の小説家、精子提供で生まれた人々が登場し、交流する中で様々な葛藤を抱えながら前に進んで行く。
「自分の赤ちゃんに会いたい」という動機で授かる命の重さ、「子供が生まれたことで人生が2倍充実した」という意見、「生まれたくなかった」という証言。
654ページの分厚さだけど、小まめに時間を見つけて読み切ったのは、図書館の同僚が貸してくれた本だったから。
その際彼女は「日詰さんに似てるから」と言ってくれた。
どの人が似ているのかなぁ?
主人公?姉?編集者?小説家?
最後まで興味深く読んだけれど、人が見るワタシって、予想できないものねぇ。