朝の書架整理でこの本を見つけた時、(2012年に新型ウイルスのパンデミックを予見した医師がいたのか⁈)と、一人で色めき立った。
著者から寄贈されて、図書館に受入れた単行書のようである。
内容は”預言書”というよりは、2009年に発現した、8本の遺伝子を持つ新型インフルエンザウイルスのパンデミック(騒ぎ)を検証したものであった。
一時はWHOがフェーズ6を宣言し、政府やマスコミが危機感を煽るも、極めて軽症であり、終息した。
筆者はこの「感染列島狂騒曲」を「外れも外れ、大外れ」と痛烈に批判している。
当時の新聞記事や関係者の意見を取り上げては、揶揄するコメントを記している。
2021年に読んでみると、益川敏英(ノーベル物理学賞受賞者)氏の意見
「社会的には騒ぎになったけれど、僕は、ああいう騒ぎは基本的に悪い事じゃないと思う。大騒ぎしたことで、特に重大な損失があったわけじゃない。トレーニングだと思ったらいいのであって、むしろ、今度同じようなことがあった時、<前はたいしたことがなかった>と逆作用の方が恐い」
など、なかなか本質をついていると思われるが、
筆者は「豪放磊落を絵に描いた言葉だ。流石に、人間離れしている偉人の考えることに常識は通じない」とコメントしている。
8年後、世界的な新型コロナパンデミックを経験した者としては、これらコメントを読み進めるうちに「パンデミックなめるな」と腹立たしくなってくる。
が、マスク不足やPCR検査、ハイリスク群への警鐘、ワクチン開発など、今回も浮上したトピックに2012年時点で触れているという点で、先見の明を感じる部分が、なきにしもあらず、である。